猫の去勢はすべき?

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猫の去勢はすべき?

今日は、猫の去勢手術についてお話しましょう。

生まれ持った組織で、本来あるべき臓器なのに、それをヒトの意思で取ってしまう、そんな罪悪感は猫を飼い始めて皆さん初めて葛藤する一つの壁かと思います。日常診療においても、悩まれ飼い主さんから相談をよく受けますね。

ただ、ペットとして家族としてこれから長年共生していくには、去勢しないことによって私たち生活に障害が伴う行動が現れたり、性ホルモンの影響により予期せぬ事故になりかねないため矯正する猫の安全のために行う観点から、猫の去勢手術は現在基本的に実施することが望ましいとされています。

皆さんの環境や今後繁殖させたいなど、それぞれ意向があると思います。また、去勢を考えている方には、どのように去勢は行われるのか、去勢後はどうなのかなどとても気になることかと思います。今回の記事を参考にしていただき、皆さんの手助けになれると嬉しいです!では、始めましょう!

去勢について

・去勢はいつするべき?

精巣さえ確認できれば、何歳でも去勢手術は行えます。かつては早期に去勢手術することにより尿道の発達が未熟になるために、猫下部尿路疾患の発生率が高まると言われてきました。しかし、現在はその関連性や原因となる可能性はほとんど否定されていて、主な獣医外科手術の教科書の去勢の合併症にもそのような記載はないことから科学的根拠はないと考えられています。

また猫の去勢手術の適齢は未だ明確な基準はありません。基本的には、去勢手術のタイミングは、獣医師と相談しながら決めるのがベストですが、一般的には6-9ヶ月ごろに行われます。

・メリット

精巣腫瘍などの生殖器系の病気を防ぐ効果が期待できます。「類似交尾」と言われるマンティングや性的アピールとしての「スプレー行動」などは、一般的に減少すると言われています。

また雄猫が持っている縄張り意識が低くなり、噛み癖やケンカなどの「攻撃行動」が少なくなり、性的な欲求が減ることで、繁殖のために相手に求める「脱走行動」も減ってきます。そして、発情や性衝動がなくなるので、相手を求めて大声で鳴くことも無くなります。

・方法

去勢手術は「皮膚切開手術」です。これは、精巣を包む皮膚(陰嚢)を切開し、精巣を取り出す手術です。切開するのは1㎝ほどで、手術時間は10分程度。ほとんどの場合、手術当日に自宅へ帰れます。

ごく稀なケースですが、精巣が陰嚢に出てこない「停留精巣」の雄猫がいることもあり、その場合の手術は、雌猫と同じように開腹手術や腹腔鏡手術をして精巣を取り除く方法によって行われます。

・去勢費用

手術をする動物病院や猫の状態によって異なります。平成27年の日本獣医師会の調査によると、猫の去勢手術にかかる費用の相場は約13,000円程だと言われていますが、これは去勢手術のみの金額なので、術前検査などを考えると費用の相場はトータルで約30,000円程度でしょう。

術前検査とは、「全身麻酔医に耐えられるか」を調べる大切な検査です。一般的には、身体検査の他に血液検査や胸部レントゲン検査などを行い、先天的な病気はないかや臓器の機能に異常はないか、ウイルス感染症の疑いはないかなどを確認します。ここで異常が見つかると超音波検査などが追加され、より詳しく体の状態を調べます。

動物の場合、手術や検査などの各費用は病院ごとに異なるため、正確な費用については事前にかかりつけの病院に相談すると良いでしょう。

・手術の流れ

去勢手術は以下のような流れで行われます。ごくたまに一泊入院となる病院もあるようですが、日帰りのところが多いようです。

手術の予約:来院歴のある病院なら基本的に電話でも予約可能

前日:多くの動物病院は、手術前日の夜ご飯以降絶食が基本

当日:朝から絶食・絶水の上、動物病院へ来院

       ↓

   診察・手術の説明と同意書などの記入・術前検査

       ↓

   夕方にお迎え・帰宅後の注意点などの説明・再診の予約・支払い

去勢するのは、かわいそう

もちろん、健康な状態なのに人のエゴのために麻酔をかけて正常な組織を取ってしまうことは抵抗があり、かわいそうだとも思います。猫にとっては、恐ろしい体験でもあります。去勢手術後の雄猫は、心身ともにかなりストレスを受けていることも多いと考えられています。

しかし、雄猫が人と家族として生活していく中で、お互いの安全とより良い関係の中、共生していくには「メリット」の項目で述べたように、去勢が必要不可欠となる部分が大いにあります。なので、術後のケアをしっかり行い体調と心のケアをしてあげることで、猫のストレスを軽減してあげることが何より重要と言えるでしょう。

また、比較的に若い時期での体験の方が、それほど恐怖に感じない遠言われています。

耳がちょきんとカットされた猫「痛そう」「かわいそう」

この猫の耳は、まるで桜の花のような形をしています。人の手によって耳の先端がカットされた実ものです。この『耳カット』は優しい気持ちの表れなのです。不幸な野良猫を減らす目的に、ボランティアが行っている活動で、『TNR』があります。TNRとは、

T:(Trap)=捕獲機で保護する

N:(Neuter)=不妊去勢手術をする

R:(Release)=元に戻す     の略

その不妊去勢手術の際に「もう手術済です」というしるしが、耳カットです。不妊去勢手術は、猫にとってかなりの負担になります。誤って、2度目の手術をされてしまうことを防ぐなくてはいけません。なので、この耳カットは猫にとっても優しい、とても大切なことなのです。ちなみに雄猫は右耳、雌猫は左耳の先端を三角にカットします。

去勢後は何に気を付ける?性格は変わるの?

気を付ける点

*術後の食事は少しづつ、少なめに。

去勢手術は短い時間で行われる手術ですが、猫の体に負担がかかっていることには変わりありません。そのため、食事は一度にたくさん与えるのではなく、少量ずつ時間をおいて与えるようにしましょう。

また手術当日の帰宅後は、麻酔の影響を配慮して、食餌や飲水を控えるよう指示されることはあります。退院の際に食餌開始のタイミングをきちんと確認しましょう。精神的なストレスなどの影響で食欲が無い場合もあります。食餌を食べなかったり、吐いたりするときには、早めに獣医師に相談してください。

*手術後には数日、カラーが必要

術後は数日エリザベスカラーを装着する必要があります。エリザベスカラーは、猫が幹部を舐めたりしないようにする保護具です。最近は柔らかい素材のものも見られるようになりましたが、プラスチック製のものが一般的です。プラスチック製の場合、エリマキトカゲのように皮周りを装着するので、視野が狭くなり、猫の行動範囲を狭めてしまう傾向にあります。

場合によっては、猫にとってストレスとなりパニックになることもありますが、可能な範囲で術後数日はエリザベスカラーを使用していきます。様子によっては、患部の状況と合わせて獣医師と相談して対策を取る必要があります。  

雌猫の場合腹部に術創ができるため、術後の保護具としてエリザベスカラーの他に、エリザベスウェアーという術後服で術創をカバーすることができます。このエリザベスカラーは排尿部分は保護されないため、雄猫には向いていません。

*術後は一時的に抵抗力と免疫力が低下する

去勢手術直後は、一時的に抵抗力や免疫力が低下します。抵抗力が低下すると、感染症の危険性が高まるので注意がしましょう。術後2週間前後はシャンプーを控え、同居猫がいる場合には必要に応じて少しの間隔離するなどといった状況によて対策も必要です。手術を受けた猫が、安心して過ごせるように配慮しましょう。

術後の変化      

*性格

雌猫の鳴き声に反応しなくなり、闘争心が減るので飼い主さんは「穏やかになった」という印書を持つでしょう。若いうちに去勢手術を行うと、大人になっても子猫のような”甘えん坊”の性質が残ることもあります。

*見た目の変化

腰やお腹周りがふっくら

性ホルモンの分泌がなくなると、代謝が落ちてきます。そのため、今まで通りの食餌量だと太りやすく、腰周りやお腹周りがふっくらとする傾向があります。

筋肉質では無くなり丸い印象

雄猫は本来運動量が多く、雌猫より筋肉がつきやすい体質です。しかし去勢後は運動量がやや減り、筋肉もつきにくくなる傾向があります。

顔まわりがスッキリする

頰周りの皮膚が発達するのは、雄猫の性ホルモンの影響です。去勢手術によってその分泌がなくなると、顔周りはスッキリした印象になります。

*キャットフード

去勢後の食事の注意点は2つ

・エネルギー消費量が減る

・食欲や好みの変化

去勢前と同じ量やカロリーのキャットフードを食べていると太ってしまうことがあるので注意が必要です。手術後の体に適したキャットフードが販売されているので、最適なものを選んであげることが大切です。

去勢後のキャットフードの選び方のポイントはいくつかあり、これらに気をつけてあげると良いでしょう。

選び方のポイント

・肉・魚が主原料

・穀類不使用

・合成添加物不使用

・尿路ケアできる素材が使われている

・高タンパク、脂肪とカロリーが控えめ

・バランスよく食物繊維が含まれている

猫は犬やヒトに比べ、デンプンの消化酵素が少なく活性も弱いです。そのためデンプンを多く含む(乾物あたり40%を超える)フードはおすすめできません。また、雄猫は尿道が狭いので、膀胱炎にやすいため、尿路ケアできる素材が使用されていることも大切です。肥満も尿路疾患の発生リスク要因としても知られているので、適正な体重管理も欠かせません。

過去に、去勢後におすすめするフードの記事も書いているので、参考にリンクを貼っておきます!!

去勢しないという選択

動物病院に来院される雄猫の、去勢手術を行っていない猫はおそらく1%もいないのでは無いかと思われます。病気の予防という観点では、雌猫の避妊に比べ圧倒的にその息が低いのは事実としてあるにせよ、去勢せずに家の中で飼育しようとすると、会tけいに「同居」することができないからです。もちろん、去勢をせずに飼われている飼い主さんもいらっしゃって、その理由としては、

・自然なままで痛いから

・ブリーディングをしたから

・発情が起こらないのでなんとなく

という理由がほとんどです。

しかし、かなり覚悟をしておかないと、去勢をしない雄猫と一緒に暮らすのは、かなり大変だと考えます。では、なぜ困るのでしょうか?

1.マーキングする(スプレー行動する)

2.匂いがきつい尿がでる

3.発情の度に雄叫びをあげる

4.毛質が油っぽくなる

自分の縄張りを誇張するために雄猫特有の本能行動であるマーキングが見られます。そして雌猫に自分の居場所や存在をアピールするために、匂いがきつい尿をします。その他、発情期が来ると叫びのような大声を上げて一晩中鳴くようになり、家族を不眠にさせてしまう他、ホルモンによって雄猫の尾の根本に集中している皮脂腺から、雄猫特有の独特の匂いが発生します。

これらの、去勢しないことで起こる困ったいくつかの問題があります。我慢できるというのであれば、去勢手術を無理にすることはないと思いますが、何事にもリスクとベネフィットがあるので、去勢した場合としなかった場合とで検討いただきたいと思います。

まとめ

いかがでしょうか?健康で正常な組織をヒトの意思で取ってしまう罪悪感は去勢する場合あるかと思いますが、去勢するメリットもありリスクもあります。それぞれのメリットとベネフィットをよく考えていただき、より良い家族としての時間を作るために検討いただきたいと思います。