犬の白内障について~第1回~

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犬の白内障について〜第1回〜

診療していると、「うちの子、白内障ですか?」という質問を、とてもよく受けます。たいていその質問は、他の理由で来院されていて、そういえば・・・というついでの質問として、聞かれます。きっと、飼い主の心理として、「目が白いだけでは来院することでもないかな、でも気になるな・・・」という気持ちかと思います。それだけ日々、犬としっかりとコミュニケーションとられている為、変化に気付けているということでもありますね。

今日は、そういった病院行くほどではないけれど、気になる!「犬の白内障」についてお話ししていこうと思います。

白内障とは?”目が白い=白内障”ではありません。

白内障は、眼の真ん中にあるレンズ(水晶体)が白く濁っていく病気で、失明を引き起こす犬の眼疾患の中で最も一般的なものの一つです。白内障は、進行するにつれどんどの白さを増し、そのくもりによって視覚を失うだけでなく、高率に合併症を引き起こす疾患でもあり、合併症をいかに予防するかが視覚の予後を左右するといっても過言ではないでしょう。

白内障が進行すると、白くなった水晶体からタンパク成分が漏出し、水晶体周囲の組織に炎症を引き起こし「ぶどう膜炎」になります。その炎症が進行すると、網膜剥離や緑内障、水晶体脱臼などが起こってくるのです。こうなると、資格の維持や痛みのコントロールが難しくなり、最終的には眼の摘出や、義眼を入れるなどの外科的処置が必要となってしまいます。

はじめは、眼が白くなるだけで食欲など体調に変化が現れない白内障ですが、進行すると網膜剥離や緑内障などの合併症を引き起こし、永久的な失明に至ってしまうことも少ない為油断できない怖い病気なんです。

犬の目に白い点!?

「うちのわんちゃんに、急に眼に白い点ができました。これって白内障ですか?」

これも、よく聞かれます。経験されたからもいるのではないでしょうか?先に説明した白内障の場合もありますし、他の原因がそのような症状をもたらすことがあります。では、どういった原因が考えられるのでしょうか。

  • 白内障
  • 核硬化症:加齢に伴って水晶体の中心の「核」と言われる部分が硬くなってより密になります。そうすると光を反射してしまい、結果的に白く濁って見える状態をいいます。
  • 角膜の異常:炎症や傷、免疫異常による病気で、目の外側にある角膜が傷ついた後に白く濁ることがあります。また、角膜浮腫と言って角膜に水が溜まって白く濁る頃があります。

これらの判断は、もちろん素人は困難です。獣医師にしっかり診断してもらい、異常があればしっかりと治療をしてもらいましょう。

核硬化症って何?白内障と違うの?

よく白内障と間違えられやすい「核硬化症」。あまりご存知ないかも知れませhん。見た目は白内障同様レンズ(水晶体)が白くなる為、ぱっと見では、わかりづらい病態です。この「核硬化症」は、白内障と全く異なり、そもそも病気ではありません。年齢を重ねるにつれて、水晶体が硬くなってきてしまう加齢性の変化であり、かなり白くなっても視覚は失いません。少しぼやっとするかもしれませんが、光は透しますし、日常生活に困ることはありません。一般的に犬では、大体7歳くらいからだんだん白くなり始めます。

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年齢

若齢~中年齢での発症が多く、特に若齢での発症では進行が早く、ぶどう膜炎や緑内障、網膜剥離などの合併症が生じやすい傾向にあります。170犬種において、遺伝性の発症が証明もしくは示唆されています。日本においての大規模な調査報告はありませんが、

トイ・プードル

柴犬

ボストン・テリア

フレンチ・ブルドッグ

チワワ

シー・ズー

アメリカン・コッカー・スパニエル

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

ジャック・ラッセル・テリア

ヨークシャー・テリア     など、人気犬種に発症が多くみられます。

原因

原因は先天性と後天性があり、遺伝的素因と加齢によって発症することが多いと言われています。

●先天的な場合(遺伝性)

先天性の白内障の場合は、水晶体内の代謝機能が先天的にうまく働かず水晶体が濁ってしまい、生後数ヶ月から数年とかなり早い時期に発症します。2歳までの若年でも目の濁りとして、白内障が始まることもあります。

●後天的な場合

*加齢性白内障

*糖尿病性白内障

通常両側性に発症し、糖尿病を発症してから170日後には50%、16カ月後には80%の犬が白内障を発症するとされています。急速に進行してぶどう膜炎などの合併症のリスクも高くなる為、早期の手術が望ましいとされています。

最近では、白内障の原因お一つに酸化ストレスが挙げられていて、抗酸化作用を持つサプリメントなどを摂取することで、体全体の抗酸化力を高め白内障の進行を抑えたり、予防ができるとも考えられています。

*外傷性白内障

事故や猫の爪による外傷や咬傷、異物などが原因で起こり、急性で重度の白内障が引き起こされます。

目が見えないことによる、寿命の変化や生活に変化はあるのか?

視覚は、動物にとっても目標に接触または接近することなくその情報を得ることができ、便利でかつ重要な感覚であることはヒトと変わりありません。しかし、病気によって後天的に視覚低下または喪失する状況に飼い主さんが戸惑うのは当然です。

ヒトが情報を得る手段として視覚を第一に使用しているのに対して、一般的に犬では嗅覚及び聴覚の利用が視覚からの情報を上回っていると言われています。両眼の視覚喪失によって、物やヒトへのぶつかりが増え、寝ている時間やじっとしている時間が増える一方、犬の視覚喪失に伴う不安や恐怖という感情と飼い主の意識的に接触時間が増えることから、犬が家族のそばにいる時間が増える傾向が見られます。そして、そのような環境の変化がありながらも3カ月後には犬も飼い主も慣れストレスなく過ごせるようになったという報告があります。その為、両眼喪失しても環境に慣れ、ストレスが少なく通常の生活が可能であり、寿命にはさほど大きな変化をもたらさないと考えられています。

治療

白内障の治療方針は、大きく分けて内科学治療と外科的治療に分けられます。外科的治療の手術を行っても必ずしも完治できるとは限らず、内科的治療方法では、進行を遅らせる効果があっても、進行した白内障を完治させることはできません。

内科的治療(点眼・内服薬)

目薬

ピレノキシン製剤(ライトクリーン・カリーユ・カタリン) 

「白内障を治す」というよりは、「進行を抑える」という程度の効果であり、効果はないという考えの獣医師もいます。

Nアセテルカルノシン(シーナック・キャンシー・ドッグクララスティル)

水晶体内の酸化を抑制するとして、最近使用されるようになってきています。しかし、Nアセテルカルノシンを含む目薬は、ピレノキシン系の目薬との併用は禁忌となっています。

点眼治療は効果あるの?

実はヒトの方では、2003年に厚生労働省の研究班が白内障の眼薬を「有効性に関する十分な科学的根拠がない」として、研究結果を公表しました。その白内障の眼薬の成分は「ピノレキシン」と「グルタチオン」であり、まさに犬の目薬でも処方されているものと同じ成分なのです。

ですので、いまだに同成分の眼薬は販売されていますが、厚生労働省の結果をふまえて、犬の白内障の目薬を処方しなくなった病院が多くなったはずです。

とはいえ、もちろん実際に処方していて、明らかに犬の白内障の進行を遅らせることができたり、その実感があれば、獣医師の責任のもと眼薬を処方しています。ヒトの眼科学会で異論を唱える意見もあったり、結局有効性に関しては未だ結論はありません。この点を理解した上で、少しでも可能性を期待して点眼治療を行うのも良いでしょう。

外科的治療(手術)

外科的治療は、外科的に濁った水晶体を超音波の振動で細かく砕いて取り除き、水晶体の代わりに人工レンズを挿入する手術を行います。この手術は大学の附属病院や眼科の専門病院で行います。手術自体の難易度より、白内障の進行度、緑内障など他の眼疾患がないか、術後の管理(頻回の点眼、投薬、エリザベスカラーの装着、合併症の治療)が大変な為、犬の性格や飼い主さんの管理能力等を総合的に判断して手術を行うか決定します。

現在、唯一手術のみが視覚の回復を期待できる方法です。合併症なども起こる可能性もある為、進行状況や環境等よく検討し実施しましょう。

白内障手術 治療費

白内障の手術は、片目で20~40万円かかりますが、その他に術前の眼科の精密検査、。術後の通院、投薬、合併症がある場合はその治療などの費用が別途かかります。両眼の手術では50万以上かかります。

白内障手術 手術後

入院中は抗生物質、胃薬の内服、非ステロイド剤の注射および抗生物質、非ステロイド、ステロイド点眼を行います。術後炎症を判定し、正常値に近づいた時点で退院となります。平均的な入院期間は3-4日間です。

退院後は自宅で抗生物質、胃薬及び非ステロイド剤の内服、抗生物質、非ステロイド及びステロイド点眼を行います。全身シャンプーは退院後可能ですが、顔周りは1週間控える必要があります。散歩も歩く程度なら可能。激しい運動は控える必要があります。退院後1週間後の診察、2週間後の診察及び動物の状態に合わせて定期検査、診察が必要となります。

予防

白内障の予防方法は確立されていませんが、加齢によって進行する糖尿病では、高血糖が水晶体を白濁させ、血管や神経が劣化することで進行するという結果などから、抗酸化作用、免疫力を高める作用を持つ物質や食べ物、サプリメントを摂取することで白内障を予防できるのではないかとも考えられています。

白内障の予防が期待できる物質の代表として、ビタミンE、ルテイン、プロポリス、アガリクス、β-カロテン、ビタミンCなどが挙げられ、これらの製剤が「白内障予防サプリメント」として販売されています。

 

 

白内障が驚くべき速さで進行することもあり、短期間で失明に至るケースや、ぶどう膜炎や網膜剥離を併発するケースもあります。白内障の一番の対策は、早期発見しかありません。こまめに愛犬の様子や目の濁りをチェックし、必要があれば動物病院で検査するようにしましょう。

まとめ

犬の白内障は、失明につながる恐れもある病気です。楽しい散歩を怖がるようになると様々な支障もでてきます。予防はもちろん、発症した際にも初期段階のうちに進行を抑えられるよう、早期発見・早期治療を心がけましょう。犬の歩き方や行動などを定期的にチェックし、症状が現れたらできるだけ早めに獣医師の診察を受けましょう。また、できるだけ愛犬が長く健康で暮らしていくために、飼い主として、正確な情報を知っておくことがとても大切です。

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