自身の猫に、何かサプリメント与えた方がいいのかなーと、悩んでいませんか?
ここ数年はペットのサプリメントが増え、診察していても、サプリメントを自身の判断で与えている方が多いなと実感しています。
実は、この記事で紹介する「この記事1つで、猫のおすすめサプリメントが分かる!アンチノールは腎臓病に良い?」を一読すると、どのようなサプリメントが自身の猫に合っているのかが分かるようになります。
なぜなら、この記事は、きちんと自身の猫の何が問題で解決したいのか理解してもらうことの重要性を理解いただける内容になっているからです。
実際に”皆このサプリメントを与えて、良さそうだから”、”なんとなく、与えた方がいいのかな”という理由で、サプリメントを与えている方が、多くいます。そのような飼い主さんに向けて、この記事では、サプリメントの種類や選び方を解説しています。そして、各症状別におすすめのサプリメントを紹介しています。
記事を読み終えると、サプリメントが必要かどうか、そしてどのサプリメントを与えるべきなのか判断ができるようになり、猫の健康に役立てることができます。
猫用サプリメントにはどんなものがあるのか
ヒトでは、健康ブームがここ数年続いています。年齢とともに減少していく栄養素を補う重要性が言われ、今では普段の食事とともにサプリメントを取り入れている人が増えています。
その現象を反映して、どのコンビニでもサプリメントが売られています。サプリメントの利用者は、男性で30.2%、女性では38.2%と男女とも3割を超えているようです。*1
*1.厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」より
かくいう私も、サプリメント愛用者です。私の主治医の先生も積極的にサプリメントを摂取していると聞き、やはり必要なんだなーと感じています。
このことは、ヒトだけではなくペットに置き換えることができます。
そもそも「サプリメント」とは、健康食品に分類される食品であり、法律上の定義はありません。
あくまで『健康の維持増進』のために利用されていることが多く、食事で不足している栄養素の補給を始め、美容やダイエットなど目的はさまざまです。
ただサプリメントをペットに使用するときの注意があります。それは、この3つ。
・ペットはヒトに比べて寿命が短いこと
・内臓の機能がヒトと違う
・必要な栄養素が違う
ペットをサプリメント漬けにして、病気にさせてしまったり、無理矢理サプリメントを与えて関係が悪くなったりしないよう、サプメントをペットに与えるときは獣医師に相談してから、与えるようにしましょう。
必要に応じて毎日の食事にプラス
猫用のサプリメントも私たちヒトのものと同様に、補助食品として販売されています。
例えば、ビタミンやミネラルなどの栄養素が入ったものや、乳酸菌やアミノ酸が入ったものなどさまざまなものがあります。
多くの方は、ネットで販売されているサプリメントを目にすることが多いと思います。一方、意外と動物病院でさまざまなサプリメントが販売されています。特に病気を抱えている猫ちゃんにサプリメントを使用する場合は、動物病院で扱っているサプリメントを使用した方が、効果的な場合があります。サプリメントを使い始める前に、獣医師に相談してから、使うようにしましょう。
猫のサプリメントを与えるときに気をつけること
サプリメントを猫へ与えるときの注意点は、ヒトと同じです。いくつか注意点を紹介していきます。
必ず猫用のサプリメントを使う
何よりも大切なのは、愛猫の体にあったサプリメントを選んで、用量・用法を正しく守って与えること。
サプリメントを飲めば、必ずしも健康になるとは限りません。過剰に摂取することで、帰って健康を損なう恐れもあります。また、サプリメントが愛猫の体にあっているかどうか、よく見極める必要があります。
サプリメントを始めたら、日頃から愛猫の様子をメモに書き留めましょう。体調の些細な変化がわかり、サプリメントの効果を簡単に把握できます。
万が一少しでも異常があれば、使用を中止し、かかりつけの動物病院に相談しましょう。
なるべく添加物の少ないものを選ぶ
サプリメントに含まれる添加物には、猫の体に良くないものもあります。そのため、なるべく添加物の少ないものを選ぶようにしましょう。
また、人間用サプリメントには、猫にとって危険な成分が入っている場合もあるため、人間用のサプリメントを猫に与えるのは絶対にやめましょう。
猫の症状や体調に合わせて適量を与える。
サプリメントは薬と違い、効果をすぐに現れるものではありません。また、多く与えるほど効果を期待できるというものではありません。
猫の症状や体調にあわせて適量を与えましょう。
猫のサプリメントの選び方
愛猫にサプリメントを選ぶ前に、なぜサプリメントを飲ませようと思っているのでしょうか?
愛猫どんな症状やどんな行動が気になり、サプリメントを飲ませようとしているのかを明確にし、それに見合ったサプリメントを選びましょう。
その際に「2つのサプリメントを選ぶ基準」を参考に選ぶようにしましょう。
・そのサプリメントが良質かどうか
・猫にとって、悪影響を与える成分が含まれていないか
サプリメントを与える=何か白の症状を改善させるため、という目的を忘れず、良質なサプリメントを与えましょう。
飲んでくれないときの上手な与え方
サプリメントの形状は以下の3タイプに大きく分かれます。
- 錠剤・カプセル
- 粉
- 液体
【お薬の飲ませ方については、こちらの記事をご覧ください。】
ペットの投薬、どのようにしてますか?投薬のやり方と投薬ツールおすすめ5選! 見に来てくださり、ありがとうございます!Burubio.comのBioです。都内で獣医師をしています。よく相談受けますが、ペットの投薬って悩みますよね。投薬が負担[…]
猫のサプリメントの種類
猫のサプリメントは、年々種類が増え、獣医師でも把握仕切れないほどたくさんの種類が存在しています。
そういった状況の中で、飼い主は、自身の猫に適したサプリメントは何か?きちんと選ぶ必要があります。
サプリメントの主な種類は以下の通りです。
・アレルギー症状を抑える。
・毛艶/毛並みを改善
・ストレスを取り除く
・ダイエット
・におい/消臭
・目・歯の健康維持
・免疫力アップ
・リラックス効果
・関節ケア
・肝臓/腎臓/尿ケア
・腸内毛玉対策
・下痢・便秘改善
・鼻づまりの改善
次に、サプリメントに含まれている成分がどんな効果をもたらすのか、代表的な成分をご紹介していきます。
乳酸菌
人にも猫にも腸内環境を整える際に、積極的に取り入れたい成分です。
下痢や便秘など腸内の環境が崩れている場合、悪玉菌が優勢となり、腸内の炎症は悪化していきます。乳酸菌には、善玉菌を増やして腸内環境を整える効果が期待できます。また、免疫力を高める効果も期待できます。
しかし重度の腸炎の場合は、乳酸菌だけでは炎症を鎮めることはできずお薬の力が必要です。お腹が弱い子は、予防的に普段から腸内環境を整えるために、乳酸菌サプリメントを取り込むと良いでしょう。
この他、口腔内善玉菌の組成で配合された乳酸菌サプリメントもあり、そのサプリメントには口臭予防にとても効果的です。
タンパク質
猫は、栄養学的にタンパク質の要求量が多い動物です。そのため、最も重要な栄養素と言われています。
タンパク質は食事から摂取可能ですが、サプリメントから取り入れることでさらに身体の健康を維持するのに役立ちます。
・心臓病や腎臓病など慢性疾患がある
・老齢
この子たちは、慢性疾患によりタンパク質の消費が早い傾向があります。そうすると筋肉量も減りやすく、体力が衰えやすくなります。
そのため、上記の子たちは積極的に摂取したいサプリメントです。
猫のサプリメントおすすめ12選ー病気別に紹介ー
ここでは、目的別のおすすめサプリメントをご紹介します。愛猫のサプリメントを使用する目的に、適したものを探してくださいね。
口臭
カナガンデンタルキャットフード
グレインフリーであり、海藻成分配合により、プラークオフが実現できるデンタルキャットフード。歯をきれいに維持するだけでなく、体もきれいにしてくれるキャットフード。
毎日のご飯を、カナガンデンタルキャットフードに変えるだけ!
ヒルズ プロスクリプション・ダイエット<猫用>t/d
特殊な粒の形とサイズ、独自の繊維の層状構造で毎日の健康維持に適した栄養バランスを摂取することができます。
【この2つのフードについて、こちらの記事で詳しく紹介しています。】
犬と比べて歯磨きが苦手な猫。 一度は歯磨きを試された方が、多いのではないでしょうか? もちろん健康の為にも、デンタルケアはとても大切です。 歯周病になると、麻酔をかけて歯科処置する必要があります。まして歯周病が重度となると[…]
デンタルバイオ
プロバイオティクスに基づいた製品で、投薬することで、口腔内の悪玉菌を減らし口臭を抑えてくれるサプリメントです。
チキンフレーバーがついていて、猫も喜んで食べてくれます。投薬方法はそのまま投薬するか、粉にして歯の表面に塗る方法で与えます。
【こちらの記事で紹介しています。また歯磨き方法についても、説明しています。】
ペットの歯磨きしていますか?上手に出来ていますか?〜続き〜 そうは言うものの、デンタルケアが出来ない場合もやはりあります。 その時に使用しているグッズがいくつかあり、ご紹介します。主にデンタルガムやデンタルケ[…]
腎臓
H40
”腎臓病の犬や猫を救いたい”という想いから作られた水。
病気を引き起こす原因の一つ、「活性酸素」を除去してくれます。特に腎臓病の犬や猫に使われています。
【H4Oペットウォーターについては、下の記事に詳しく書いています。】
[word_balloon id="11" size="M" position="L" name_position="under_avatar" radius="true" balloon="talk" balloon_shadow="tr[…]
膀胱炎
ウロアクトプラス
ブナ科の植物であるウラジロガシで作られたサプリメント。タンニンが多く含まれていて、尿石溶解作用と利尿作用があり、尿結石や膀胱炎の予防におすすめです。
便秘
毎日爽快
5つの酵素と乳酸菌が配合されていて、腸内環境を整え、便秘や下痢などの症状を緩和させることが期待できます。カツオ味で与えやすいサプリメントです。
【便秘については、こちらの記事へ】
猫の便秘 いつもブログを見ていただいて、ありがとうございます。BurubioブログのBioです。最近、便秘の猫ちゃんを診ることが多く、辛さもわかるので、記事にしました! 猫の便秘って意外と多いんです。 猫って便秘になりやすいって知って[…]
猫風邪や目の症状
メニにゃんEyeプラス
猫の涙目や鼻風邪の症状を和らげるには、メニにゃんEyeプラスが効果的です。
メニにゃんEyeプラスに含まれているL-リジンが猫ヘルペスの増殖を阻害し、症状の軽減効果に期待できます。
【猫風邪については、こちらの記事を読んでください。】
猫風邪 ブログをみに来てくれてありがとうございます。Burubio blogのBioです。 あれ?今うちの子くしゃみした?もしかして風邪??私の風邪がうつったかしら・・・? 風邪は人にとっても身近な病気であるため、気になる方も[…]
腫瘍
コルディ
冬虫夏草というきのこから作られたサプリメント。
腸内フローラ(腸内細菌叢)を整え、健康維持をサポートしてくれます。腫瘍を抱えた子に、免疫力を保持に期待できます。
dーフラクション
マイタケから抽出したベータグルカンを主成分とした、あらゆるステージで健康回復をサポートしてくれるサプリメント。コルディと同じく、腫瘍を抱えら免疫の保持に役立ちます。オーナー満足度の高い製品です。
【猫の腫瘍に関して、この記事で詳しく書いています。】
猫の腫瘍〜犬と一緒ではないんです 〜 意外にも猫の死亡原因の1位は、ダントツで腫瘍なんです! 腎不全が死亡率1位と思われがちですが、犬同様やはり腫瘍が一番の死亡要因です。 この事実は1998年に[…]
心臓病
ハートアクト
心疾患・血栓症用サプリメントです。
猫の心臓病は血栓ができやすい傾向があり、心疾患ファーストステージサプリメントとして重宝されています。ヒルディン・ミミズ酵素・コエンザイムQ10・EPA/DHAが成分で、心臓・血管のアンチエイジング、血液の質の改善が期待できます。
【猫の心臓病について、記事を書いています。】
第3回 猫の心臓病 今回は猫の心臓病についてお話しますが、意外と猫の心臓病の存在はあまり飼い主に認識されていない様に感じています。その原因としては、心臓病の犬は『咳』という症状を表し飼い主も異常に気付きやすいのですが、心臓[…]
関節
アンチノール
モエギイガイから抽出したサプリメント。オメガ3やオメガ6が含まれていて、腎臓・関節・皮膚・被毛・心血管・神経・認知機能の健康を守ってくれます。
【アンチノールについては、こちらの記事で紹介しています。】
ペットのサプリメント:アンチノール 皆さん、サプリメントを使用していますか? 獣医師として診療に携わっていると、飼い主さんはお薬よりサプリメントで予防・治療したいと希望される方が多い印象があります。 […]
その他
漢方を生かしたキャットフード『和漢みらい キャットフード』
このフードは、サプリメントではなく漢方を取り入れたキャットフードです。
漢方には病気を予防する”未病”という考えがあります。病気になる前から漢方を取り入れ、予防していく。そういう方法も一つです。
漢方薬は猫の病気に効果を発揮するだけでなく、猫の弱い部分や困っている部分にも優しく働きかけ改善に向かわせてくれます。猫の病気の予防のために作られたご飯『和漢みらい キャットフード』を検討してみるのもおすすめです。
【『和漢みらい キャットフード』については、こちらの記事を参考にして下さい】
猫が食欲が落ちてしまうときって、時々ありませんか? 飼い主にとっては、すごく心配になりますよね。食欲が低下した時のバロメータとして、ちゅーるを食べるかどうかを指標にしている方、多くて、ちゅーるもあまり食べないんです[…]
アンチノールは、猫の腎臓にも効果はある?
アンチノールは、オメガ-3脂肪酸を初め多くの脂肪酸を含んだサプリメント。獣医療では、特に整形疾患の犬や猫に処方されていて、効果を示してくれています。
そんなアンチノールは、他にも心血管系に作用したり脳神経系に作用します。では、猫に多い腎臓病には、効果があるのでしょうか?
アンチノール
アンチノールの主要成分は、モエギイガイ。この貝から抽出した脂肪酸が抗炎症効果をもたらしてくれます。
特にEPAやDHAなどのω3脂肪酸は、犬や猫の体にとって様々なメリットを持つ物質であると考えられています。
また、猫に多い腎臓病に対しても、進行予防に有効であると言われており、腎臓病の猫のフードにも多く含まれています。
ω3脂肪酸が腎臓病にいい影響を与える
猫の腎臓病が進行する要因はいくつか考えられていますが、ω3脂肪酸が持つ以下のような2つの作用が、腎臓病の進行を抑える可能性上がると考えられます。
抗炎症作用
ω3脂肪酸の代表的な働きが、抗炎症作用です。
その作用を期待して、ω3脂肪酸は関節炎や皮膚疾患によく使われます。腎臓病の進行要因のひとつが、腎臓の炎症だと言われています。ω3脂肪酸の抗炎症作用は、腎臓の進行も抑えてくれることが期待させています。
血小板凝集抑制作用
最近の報告によると、腎臓病の進行に血小板による微笑血栓が影響していると言われています。猫の慢性腎臓病の治療薬として承認された、ベラプロストナトリウムの薬理作用にも血小板凝集抑制作用が含まれているほどです。
ω3脂肪酸にも血小板抑制作用があり、人では「血液サラサラ成分」などとも呼ばれることがあります。血小板抑制作用は、ω3脂肪酸の腎臓病の進行抑制効果の一つだと考えられます。
ω脂肪酸の副作用は?
腎臓病の抑制効果が期待されるオメガ3脂肪酸は、あまり副作用については知られていません。
基本的に副作用は非常に少ないと考えられています。そんなω3脂肪酸ですが、以下の副作用の可能性が考えられます。
下痢/嘔吐
ω3脂肪酸は脂質の一種であり、大量に食べることで消化不良から下痢を起こします。また、消化吸収しきれないω3脂肪酸は腸内細菌の栄養素となり、腸内細菌叢の変化の原因にもなると考えられています。
膵炎
脂肪の大量摂取は、膵臓への負担をかけて、膵炎を引き起こすと考えられています。ω3脂肪酸にも同様のリスクがあります。
ただし、ω3脂肪酸は適正量であれば、抗炎症作用を持っているため、ω3脂肪酸による垂涎のリスクは高くありません。また、人を含めて犬や猫ではω3脂肪酸による膵炎の報告はないようです。
酸化による劣化
ω3脂肪酸で注意が必要なのが、酸化による劣化です。
ω3脂肪酸は非常に酸化しやすい脂質であり、酸化によりその効能が低下するだけでなく、酸化したω3脂肪酸は消化不良を引き起こす原因になると考えられています。
そのため、ω3脂肪酸を含むフードやサプリメントは、開封後時間が経って古くなったものを与えないようにすることが大切です。また、ω3脂肪酸の酸化を防ぐために、ビタミンEやセレンなどの抗酸化剤が一緒に含まれるものを選ぶことが重要になります。
以上のことから、ω3脂肪酸を含むアンチノールは、猫の腎臓病の進行予防に期待でき、投与する価値があるものと言えます。7歳を過ぎ、高齢期となった猫には、アンチノールの投与を検討してみるといいでしょう。
まとめ
今回、猫のサプリメントについてまとめてみました。
もちろん、サプリメントを使用する以前に、普段から食生活をしっかり管理することが、猫の健康を維持するためには1番大切です。
栄養バランスの整ったフードを与えるとともに、猫の体調や症状にあわせて猫用サプリメントを使用しましょう。
そして、迷った時にはかかりつけ医に、以下のことを相談してから、使用することをおすすめします。
- そのサプリメントで良いのか
- おすすめのサプリメントがあるのか
- そもそもサプリメントで様子をみてもいいのか?
またサプリメントを始めたら、前後で体調の変化があるのかメモを取り、些細な変化を確認し効果があるのかきちんと確認しましょう。効果があるようなら1-2ヶ月は継続することで、症状の軽減があるか判断すると良いでしょう。
いかがでしたか?
今や人並みに増えてきたサプリメント。話題だから、、、周りが与えているから、、、で始めるのではなく、自身の猫の体調に合わせて、適したものを選んで試すことをおすすめします。この記事が、皆さんと猫のお役に立てればと思います。