病気のペットに与えて良い手作り食

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病気のペットに与えられる、ペットのための手作り食

前回はペットフードと手作り食についてお話しました。

ご飯を食べてくれるって、当たり前のことだけれど長く診療にあたっていると改めてとても大切のことだと感じています。病気になると、当然食欲が落ちてきます。それは多くの家族の心配事となります。そのご家族の不安な気持ちは、ペットに不安を与えることとなり、さらに食欲が落ちるという悪循環を生み出してしまうこともあるのです。そんな時、手作り食はペットに食欲を復活させる起爆剤となることがあり、重要な役割を果たしくれます。今回は前回の『療法食VS手作り食』に続きとして、病気のペットに与えるべき手作り食についてお話ししていきましょう。

ペットがかかりやすい疾患別に、まとめてみました。

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慢性腎不全

慢性腎不全では、たんぱく質やミネラルを制限することにより腎機能の負荷を軽減する必要があります。

❶タンパク質の制限

❷P(リン)量の制限

❸Na(ナトリウム)量の制限

これらの中で、手作り食を与える際に注意すべきはP(リン)です。

その理由として、腎機能が低下するとPの排出能も低下するため、血液中のP濃度が高くなる「高P血症」になります。高P血症は、骨の代謝異常や血管の石灰化などを起こし死亡する例もあります。この対応として、ヒトでは人工透析や食事管理、P吸着剤の投与があります。現在の獣医医療現場では、人工透析は一部の高度医療施設でしか実施できず腹膜透析の効果もまだ確立されていません。その為、P量の制限は重要となり腎不全のペットの予後を左右すると言っても過言ではないのです。

そもそもPは体内の骨のおよそ80%を占めており、また筋肉や臓器の細胞膜の構成成分でもあります。Pを抑えた食事にするためには、肉類を制限することになります。しかし、タンパク質は体を作っている大切な栄養成分でもあるため減らすわけにはいきません。では、どんな肉類なら良いのか。

一般的に

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肉類

・牛肉(もも肉):180mg

・豚肉、馬、鹿(赤肉):170-220mg

・鶏(もも):150mg

脂肪分が少ない赤身やももの部分の肉としては、鶏肉がPの値が低くペットの慢性腎不全治療のタンパク源に適していると考えられます。

魚類

・カツオ、マグロ、サケ:260-280mg

・青魚(サバ、アジ):230mg

魚ではサバやアジなどの青魚はやや低い値ですが、肉類と比べると魚類全体のP含有量は多いようです。

このように、ペットフードに加える手作り食として主として鶏肉をメインとすると良いと考えます。また、Pを制限するには限界があるためP吸着剤を活用し、少しでも腎臓機能軽減させていくことが慢性腎不全の進行を遅らせる重要な治療ともいえるでしょう。

膵炎

ペットで膵炎、と言ってもいまいちピンと来ないと思います。お酒を飲むわけでもないし、ストレスが原因?と思うことでしょう。でも、意外にこの膵炎が実は結構多い疾患なのです。これは犬も猫も罹患します。

通常膵臓は血糖値を下げるインスリンの分泌したり、消化酵素を産生し食べ物の消化を助ける働きがあります。消化酵素としては、蛋白分解酵素や炭水化物分解酵素、脂質分解酵素を分泌します。正常であれば、食べ物が消化管を通過しない限りこれらの消化酵素の分泌も制御されていますが、膵炎を発症すると、何らかの原因でこれらの消化酵素が膵臓内で活性化され異常に分泌されることで、自らの臓器を消化し始めてしまいます。原因は基本的に単一のものではなく、多数の疾患が複合して発症します。食事性が原因となることも多く、脂肪分が多いもの、非常に濃厚な食事が発症の引き金となります。

もし膵炎に罹患してしまった場合、犬では低脂肪食が膵臓の機能負荷への軽減となり再発防止に重要な役割を果たします。食事療法は、基本的にやはり処方食がメインとなりますがヒト同様脂肪分の少ない食事は嗜好性が劣り、ペットが食べてくれない場合もあります。この時に処方食へのトッピングとして良い素材としては、

・ささみ

・じゃがいも

・カッテージチーズ

・白米(炊いたお米)

が、挙げられます。動物の炭水化物要求量はヒトに比べ断然少ない為、じゃがいもや白米は少量で良いでしょう。これらを粥状にしトッピングしてあげると良いでしょう。このことは膵炎に限らず炎症性腸症や蛋白喪失性腸症も同様です。

アレルギー性疾患

アレルギー性疾患は、皮膚に限らず消化管症状を引き起こすことがあります。食べ物の食品添加物への過敏な反応が原因で起こり、食物過敏症とも呼ばれます。この病気の原因のほとんどは、食事に含まれるタンパク質です。特に肉類(牛、鶏、ラム)、卵、乳製品、穀物(大豆、トウモロコシ、小麦)が主として挙げられますが、そのほかの食物に含まれるタンパク質や食品添加物もアレルゲンになります。しかし、食物アレルギーとその他の過敏症が混在している場合も多く、何に対してのアレルギーなのか特定するのは困難な場合が多いです。

その為、治療としてアレルゲンを除去した食事を1-2ヶ月給餌し症状の改善を図る、除去食試験を行うことがメインの治療となります。となると、与えられる食事は1種から僅かな種類の食事に限定され、ペットと飼い主の楽しむツールであるおやつというツールが無くなってしまいがちです。

そんな中、フード以外に何が与えられるか。

先ほど述べたように、アレルギー性疾患の原因はタンパク質です。

基本的に今まで摂取してきたタンパク質に反応して、症状を引き起こしているということから、今まで摂取したことのないタンパク質なら与えてみることが出来ます

この時注意したい点が、一つ。ヒトと違い摂取してからアレルギー症状が出現するまで、3-4週間かかるということ。その為、初めて与えるタンパク質をまず1種類、3-4週間与え様子見る。症状が出現しなければ、そのタンパク質はアレルギーを引き起こさないと判断できます。

1種類ずつ与える理由は、一度に複数のタンパク質与えるとどれが原因物質かわからなくなってしまう為です。根気が必要ですが、このように地道に試験的摂取させていくことが重要となります。今まで、魚類を摂取したことがなければ、イワシやアジなどの青魚は、タウリンやDHA・EPAを含みこれらは皮膚にも効果を示す為与えてみると良いでしょう。タラやカレイなどの白身魚は、脂肪分も少なく消化も良いです。また、卵は加熱すれば使用可能です。また大豆製品(豆腐、おから)も良いでしょう。

この他、少量の白米やカボチャやニンジン、キャベツ、大根、白菜、サツマイモの野菜も基本的に与えて良い食材となります。また、昆布やひじき、わかめなどは食物繊維やミネラルも豊富でこの病気でなくても動物にとって栄養素の多い食材です。きのこはカロリーは殆どなく食物繊維やアミノ酸が豊富で、ビタミンDやβグルカンを含み、免疫活性効果も期待できるかもしれません。ごく少量であれば、オメガ脂肪酸・不飽和脂肪酸を含む良質なオリーブオイルやサーモンオイルを添加することをお勧めしますが、この場合医師と相談した上で使用すると良いでしょう。

根気が必要ですが、家族であるペットの好みにあった食材の中でアレルゲンを除去した食事を見つけ、生活に潤いをもたせましょう!

まとめ

以上、罹患率の多い病気について今回お話してきました。

家族に病気が見つかるだけで、家庭の雰囲気は曇りがちになるものです。そしてご家族の不安は、敏感なペットにすぐ伝播するものです。そんな中でも少しでも家族が笑顔になって、病気と向き合っていく事で自然に病気も遠ざかる、そんな実感を持っています。その笑顔を少しでも増やしたく、今回誰しもが一番気になっている食事をテーマに書いてきました。私も自分の家族である猫が病気で食事を取れなくなってきた時、とてもとても悲しく色々工夫した経験があります。フードで悩まれている家族の少しでもこの記事が、役に立ってくれることを願っています。

何か質問等ありましたら、ご相談くださいね。

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