第1回高齢になると心配!!犬と猫の心臓病

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犬と猫の心臓病

動物の心臓病って意外と多いこと知っていますか?

それは、犬のみならず猫もとても多いのです。しかし、他の病気と違って、特徴的な症状も現さないため原因追究に時間がかかったり気づかないことも多い病気の一つです。犬は咳の症状を示すため飼い主さんは気付きやすいのですが、特に猫では咳の症状を示さないため心臓病が進行し、呼吸が荒くなり病院に来院し、病気が見つかるケースが多く見られます。

私は、レントゲンや超音波検査など非侵襲性検査でペットの病気を診断し的確に治療することで、辛い状態を治すことができる心臓病を、1頭でも多く見つけ治してあげたいという想いから循環器に興味を持ち、得意分野とすべく知識を深める努力をしています。

先日の学会(FASAVA)でも、主に循環器を中心に学んできました。様々なことを学び、より知識を深くすることができたと共に新しい知見もいくつかあり、とても興味深い内容でした。その得た情報も踏まえ、ペットの心臓病についてお話したいと思います。心臓病って書き始めるととてもとても長くなってしまうため、3シリーズに分けお話ししたいと思います。今回第1回は、犬の心臓病で特に多い僧帽弁閉鎖不全症についてお話しします。この回では、病態や症状について主にお話し、第2回は、僧帽弁閉鎖不全症の診断・治療についてと新しい知見について。第3回は猫の心臓病についてお話しします。

では早速始めましょう!

まず、心臓の構造について少し説明しましょう。

心臓は4つの部屋に分かれています。この様な生体の構造の話は、きっと中学生以来でしょう!笑

上の部屋を心房・下の部屋を心室と言います。そして全身を巡った血液は後大静脈に集められ右心房にきます。その血液は逆流を防ぐための弁=三尖弁を通り右心室に入ります。その後肺動脈を通って肺へ行き、ガス交換され酸素の多い血液になり肺静脈を通って左心房に入り、僧帽弁を通過し左心室へ。大動脈を通って全身へ送られます。

犬では、主に左心の僧帽弁での閉鎖不全が生じる僧帽弁閉鎖不全症が多く、猫では左心室の筋肉が肥大する肥大型心筋症が多い疾患となります。この2つの疾患について説明しましょう。

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第1回 犬の心臓病で特に多い僧帽弁閉鎖不全症

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どんな病気?

先にも話したように僧帽弁がもろくなったり厚くなったりしてしまうと、弁の閉鎖機能が悪くなり、本来の血液の流れとは逆に左心室から左心房への逆流する血液が生じてしまいます。また、僧帽弁を支える筋に異常が起きた時も、同様に弁の開閉に支障をきたし、これらの病態を「僧帽弁閉鎖不全症」と呼びます。そして次第に左心房に負荷がかかり、左心房が拡大することによりその上を走行する気管支を刺激したり肺に圧がかかることにより咳や呼吸困難を引き起こしていきます。

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血液が逆流するということは、綺麗な血液を全身に送り出せる量が減るということを意味します。心臓がドクンと1回収縮した時に流れる血液量が減ってしまうわけです。動物のからだというのが実に賢くできていて、1回の収縮が不足であれば心臓をもっと動かしてたくさんの血液を流そうとします。簡単にいうと、ドクンドクンという心臓の鼓動を今までより早くして、血液を送るポンピングの回数を増やそうとするのです。

心臓が一生懸命働くことによって、全身には今までと同じくらいの量の血液が循環することになります。つまり、心臓は必死に働いているお陰でからだの他の部分に影響が出ないわけです。症状が見られないということになります。

この自覚症状のない時期にあっても、定期検診を受けると「僧帽弁閉鎖不全症」が発見されるケースがたくさんあります。外見上は咳や呼吸困難などの症状が見られなくても、聴診器で心音を聞くと心雑音が聞こえます。また当然、心拍数が上昇しているはずです。

明らかな外見上の症状がないまま「僧帽弁閉鎖不全症」が進行するとどうなるのでしょうか?

まず、血液を送り出すために必死に働いた心臓は疲労困憊の状態になります。心臓の力が弱まり、心臓から血液が流れて行かないわけですから、血液が心臓に溜まり始めます。送り出せなかった血液の量が増えた分だけ、心臓が血液を含み、膨らんだ状態になることを「心臓が大きくなる」と表現します。

心臓に溜まった血液は行き場を探して、肺に流れていきます。最初は肺の毛細血管に血液がためているのですが、それも限界を超えると、毛細血管から血液中に水分が溢れ出て肺の中に溜まり始めます。これが「肺水腫」と呼ばれる状態です。肺の中に組織が水浸しになり、呼吸がうまくできません。この時レントゲン撮影をすると、肺が真っ白に写ります。毛細血管から水が漏れ出す現象が胸で起こると「胸水」、お腹で起こると「腹水」という診断をされます。

症状は?咳??

こうして心臓が体に必要な血液量を送り出せなくなった状態を「心不全」と呼びます。「心不全が人間の中年期では死因第2位にのぼるほどで、犬においても命に関わることの多い状態です。

初期症状は「散歩の途中で座り込む」「寝ている時間が長くなる」といった程度で、飼い主さんも気づきにくいでしょう。このことを運動不耐性と言います。つまりヒトでいう動悸・息切れに相当します。

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中度になると「散歩に行きたがらない」「食欲が落ちる」「運動後や興奮すると咳をする」などが見られる様になります。さらに進行して重度になると、「ほとんど動こうとしない」「安静時にも咳が出る」「突然パタン路倒れる」「呼吸困難」などが起こるのです。犬の咳する様子は、ヒトと異なるため分かりづらいかと思います。私達獣医師がよく表現するのは、おじさんがよく痰を切るような「カーッ・ペッ」という咳と話します。このような咳をしている時には一概には言えませんが、心臓病が原因の咳の可能性があります。よってこれらの咳や運動不耐性の症状が見られる場合注意が必要です。高齢だから・・・で片付けるのではなく、まず動物病院で健康診断を受診し、心臓肥大がないか検査してみると良いでしょう。

また、心臓病が進行することによって酸素濃度の低下が起こり、唇や舌などの粘膜が紫色になるチアノーゼを起こすこともあります。肺水腫や心不全を繰り返すうちに体力が限界を迎えてしまうことが「僧帽弁閉鎖不全」の一番怖いところなのです。

人気の小型犬が僧帽弁閉鎖不全症の好発犬種

では日本において、犬が心臓病に罹患する率はどのくらいなのでしょうか。

ペット保険会社のデータによると心臓病を含む循環器の治療で保険請求があったのは、全疾患の5%程度だったようです。

僧帽弁閉鎖不全症は、一般的に小型犬に多く加齢とともに発症します。

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循環器の病気の特徴として、6歳を超えると急激に罹患する率が上がるという事実があります。5歳では全疾患の1~2%程度であったものが、10歳を超えると10%以上、12歳では20%近くに跳ね上がります。つまり12歳の犬が動物病院にかかった場合、5匹に1匹は心臓病と言えるのです。

特に日本で人気の小型犬は、循環器の病気にかかりやすい傾向にあります。12歳での罹患率がシー・ズーやポメラニアンで30%以上、チワワで40%、マルチーズで50%を超え、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルに至っては60%を超えます。ご存知の方も多いと思いますが、キャバリア・キング・チャールス・スパニエルは例外で遺伝的に罹患率が高く、6歳で発症するケースが多いです。

原因としては、加齢に伴い粘液が僧帽弁の先端に付着することにより、僧帽弁の先端が丸く鈍化し弁の接合に隙間が生じることで逆流が発生することが知られています。

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まとめ

実際診療していて、キャバリアさんのご家族の方はこの病気に対する意識が高く子犬の頃から意識されていますが、他の小型犬の飼い主さんはそこまで意識は高くないという印象があります。確かにキャバリアは罹患率が高いですが、チワワやマルチーズの高齢犬も罹患率は高いためご家族には、知識を持っていただきたい疾患と言えます。

次回、「第2回 僧帽弁閉鎖不全症の診断・治療、そして新しい知見」についてお話ししたいと思います。

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【疑問】

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