本当に【ペット保険は必要ない】ないのか?
皆さんの疑問に実際の治療に合わせて検証しますね!!
実際に悩みますよねー、ペット保険。
ヒトは社会保障制度があり自己負担金額は3割です!!
しかし、ペットの場合社会保障が無いため、全額自己負担となり、
医療費用は高額になる場合が多いです。
皆さんもワクチンやフィラリア予防で気軽に訪れたのに、
会計時に想像以上に高額で驚いた経験も多いのでは無いでしょうか。
私は獣医師であり、もちろん私自身はペット保険に入ったことはありません。
(言うまでも無いですw)
実は、某有名ペット保険会社に少しの期間勤務していた経験もあります。
しかし、オーナー様に質問を受けたとき、その方にあまり保険の加入を勧めることはありません。
その理由として、確かに病気になると高額となるのですが、
基本的に高齢期でのことであり、それまでは予防に費用がかかることが殆どで、
そこまで治療に費用がかかることがあまりなく、保険を利用する機会もあまり多く無いからです。
【ペット保険は必要ない】はホント?実際に検証してみましょう!
ペットが15歳まで長生きした場合として、みてみましょう。
まず生涯かかるペットの費用から、
予防関係の費用は保険適応外となるため予防と医療費は別で計算します。
犬の予防費
犬の予防費を解説
子犬の時には、下記費用が必要となります。
・畜犬登録費用(地域により変動) :約3,000円
・狂犬病予防注射 :約3,000円
・診察代 :約3,000円
・混合ワクチン接種(生後60,90,120日の3回) :約16,000円
・フィラリア・ノミ・マダニ予防 :約15,000-30,000円
・避妊・去勢手術 :約30,000-45,000円
大体11万円程度かかることとなります。
成犬となると・・・年間で、下記の予防とその費用がかかります。
・狂犬病予防注射 :約3,500円
・診察代 :約4,000円
・混合ワクチン接種(生後60,90,120日の3回) :約8,000円
・フィラリア予防薬:約10,000-13,000円
・ノミ・マダニ予防:約12,000-15,000円
ざっと年間4万から5万程度かかると推測されます。
15年間生きてくれると考えると11万+5万×15年間=86万 が、予防費用となります。
医療費はどうでしょうか。
<健康診断については、こちらの記事を合わせてお読みください⏬>
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医療費
多い病気は「外耳炎」と「皮膚炎」
保険金の請求があった犬の病気で多いのは「外耳炎」と「皮膚炎」でした。
これらの病気は、症状が飼い主にもわかりやすいことと、
完全に治るまで何度も通院するケースが多いことが、件数の増加につながっています。
犬で多い病気TOP10と年間平均診療費
順位 | 病名 | 請求数(件) | 金額(円) |
1 | 原因未定の外耳炎 | 168,192 | 39,782 |
2 | 弁膜症 | 151,842 | 225,810 |
3 | 嘔吐/下痢/血便(原因未定) | 147,801 | 36,198 |
4 |
胃炎/胃腸炎/腸炎 |
117,823 | 38,920 |
5 | 原因未定の皮膚炎 | 113,842 | 49,689 |
6 | 膿皮症/細菌性皮膚炎 | 102,150 | 51,986 |
7 | 慢性腎臓病(腎不全含む) | 90,753 | 243,339 |
8 | アレルギー性皮膚炎(抗原特異的) | 81,058 | 96,850 |
9 | アトピー性皮膚炎 | 54,618 | 123,723 |
10 | てんかん | 54,505 | 154,723 |
*犬の保険金請求2,662,928件のうち、請求件数が多かった病気TOP10を掲載:出典 アニコム
ここで、面白いデーターもあるので、お話ししましょう!
犬種によって診療費は2倍も違う
犬全体の年間平均診療費は「65,872円」でした。
診療費は犬種による差が大きく、その差は2倍以上あります。
診療費が高い犬種は、「フレンチ・ブルドッグ」で127,502円でした。
年間診療費が高い犬種
順位 | 犬種 | 金額(円) |
1 | フレンチ・ブルドッグ | 127,502 |
2 | キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル | 118,638 |
3 | ゴールデン・レトリーバー | 110,322 |
4 | パグ | 101,995 |
5 | シー・ズー | 100,529 |
年間診療費が低い犬種
たくさんある保険会社を比較すると、毎月の保険料は1,500-4,000円、年間で20,000-50,000円です。
もちろんこれは掛け捨てです。
また年齢が上がるごとに保険料も上がります。
・子犬から1歳 1,500-3,000円/月 最低20,000円/年間
・2歳から8歳 2,500-4,000円/月 最低30,000円/年間
・9歳から20歳 3,000-6,000円/月 最低36,000円/年間
と、言うことは・・・・
20,000+30,000×7+36,000×9=560,000円!これ、掛け捨て・・・・。
病気にかかった時の保険会社による保証は、会社別で大きく異なりますが3割から7割保証。
5割保証として考えてみましょう。
手術
手術では、骨折や椎間板ヘルニアなどの整形外科疾患が高額となる傾向があり、
手術+入院で30万程度かかります。
その5割保証だと15万円戻ってきます。
内科疾患
心臓病(弁膜症)や腎不全治療が年間で多く費用がかかり、その費用は年間約25万円。
5割保証だと12万円戻ってきます。
よって負担が年間13万と考えて10歳で心臓病や腎不全に罹患したと考え、
15歳まで維持したと考え費用を計算してみます。
130,000×6=780,000円
では一体保険に入っと方がお得なのか、検証してみましょう!!
維持費 予防86万+保険料56万=145万
整形外科疾患で手術+心臓病に罹患で50%保証の保険に加入していた場合の自己負担金額15万+78万=93万
戻ってくる金額93万となります。
実際93万戻ってきますが、総体的気にかかる費用は238万
保険加入していなかったら同じ状況下でかかる費用は86万+186万=272万
保険加入していた方が34万お得となります。
この状況ではお得となりますが、その犬種によってかかる病気は異なります。
【ペット保険は必要ない】ってホントかな?犬の保険加入に対する見解
犬猫における死亡原因として多い腫瘍の場合、抗がん剤治療が必要だったり、
整形外科手術を受けずに一生を終えることも多かったりとその犬種により異なると思います。
腎不全や心臓病にかからなかった場合は圧倒的に保険加入しない方が、お得かと思います。
将来自分のペットがどの病気にかかるかは予想できるものではありません。
私個人の意見としては、保険料は掛け捨てとなり予防に関しては保証がありません。
将来どのくらい費用がかかるかわからないため、ペット保険に加入し保険料をかけ捨てるよりも、
その金額を毎月コツコツ学資保険のようにペット貯金として貯めることの方が、有意義と考えていて、
患者さんにもそのようにお伝えしています。
猫の予防費
猫の予防費を解説
子猫の時には、下記費用が必要となります。
・診察代 :約15,000円
・混合ワクチン接種(生後60日、90日目の2回):約10,000円
・フィラリア・ノミ・マダニ予防 :約25,000円
・避妊・去勢手術費用 :約20,000円
猫を飼い始めた際に必要な子猫の時にかかる上記の費用をまとめると約7万円といったところでしょうか。
続いて必要な維持費を試算してみました。
成猫になると・・・年間で、下記の予防とその費用がかかります。
・健康診断費用 :約7,000円
・ワクチン接種 :約5,000円
・フィラリア・ノミ・マダニ予防 :約25,000円
医療費はどうでしょうか。
医療費
多い病気は「下痢」と「皮膚炎」
保険金の請求があった猫の病気で多いのは「下痢」と「皮膚炎」でした。
総合傷病ランキング:猫
順位 | 傷病名 | 平均診療費(円) |
1 | 下痢 | 9,056 |
2 | 皮膚炎 | 10,631 |
3 | 外耳炎 | 7,739 |
4 | 膀胱炎 | 17,911 |
5 | 結膜炎 | 5,452 |
6 | 腎不全 | 30,695 |
7 | 嘔吐 | 14,976 |
8 | 異物誤飲 | 64,791 |
9 |
尿石症 |
58,136 |
10 | 腫瘍 |
82,105 |
猫の手術ランキング
猫では誤飲した異物を取り除く手術が多いようです。
他に皮膚の腫瘍を取る手術を受ける事例、歯周病のために歯石除去や抜歯を行う事例、
尿石症になって膀胱内の結石を手術で取り出す事例などが多い疾患となります。
治療費も10万円以上になることも珍しくありません。
保険金請求が多い傷病のランキング 猫(手術)
〜猫〜
順位 | 傷病名 | 診療例(参考診療費)(円) |
1 | 異物誤飲 | 異物を開腹手術で取り出した例(220,800) |
2 | 腫瘍 | 皮膚腫瘍を手術で取った例(90,400) |
3 | 歯周病 | 全身麻酔をして歯石除去と抜歯をした例(97,300) |
4 | 尿石症 | 膀胱の結石を手術で取り出した例(127,800) |
5 | 骨折 | 手術で折れた骨をつなげた例(308,700) |
では、ペット保険に加入すると保険料は年間いくらかかるのでしょうか?
調べてみると、年間の保険料に猫も犬も差異はありませんでした。
犬同様、毎月の保険料は1,500-4,000円、年間で20,000-50,000円です。もちろんこれは掛け捨てです。
また年齢が上がるごとに保険料も上がります。
・子猫から1歳 1,500-3,000円/月 最低20,000円/年間
・2歳から8歳 2,500-4,000円/月 最低30,000円/年間
・9歳から20歳 3,000-6,000円/月 最低36,000円/年間
と、言うことは・・・・
20,000+30,000×7+36,000×9=560,000円!もちろんこれ、掛け捨て・・・・。
犬同様、病気にかかった時の保険会社による保証は、
会社別で大きく異なりますが3割から7割保証。5割保証として考えてみましょう。
手術
手術では、
異物摘出術、皮膚腫瘤切除や膀胱結石摘出術・歯科処置が多く費用は大体20万円と見積もってみましょう。
5割保証だと10万円戻ってきます。
内科疾患
猫はリンパ腫による腫瘍疾患が多いため、今回は腫瘍疾患として試算してみましょう。
その費用は年間約9万円。5割保証だと4,5万円戻ってきます。
よって負担が年間4,5万と考えて10歳で腫瘍に罹患したと考え、15歳まで維持したと考え費用を計算してみます。
45,000×6=270,000円
この他、猫も心筋症が多く、腫瘍疾患と同等の費用がかかることもあります。
では一体保険に入っと方がお得なのか、検証してみましょう!!
維持費 予防67万+保険料56万=123万
皮膚腫瘤切除や膀胱結石摘出術で手術+腫瘍に罹患で50%保証の保険に加入していた場合の自己負担金額10万+27万=37万
戻ってくる金額37万となります。
実際37万戻ってきますが、総体的気にかかる費用は160万
保険加入していなかったら同じ状況下でかかる費用は67万+74万=141万。
保険加入していない方が19万お得となります。
【ペット保険は必要ない】って本当かな?猫の保険加入への見解
猫は断然、保険に入らない方がお得と言うことになるます。
もちろん疾患や整形外科疾患にかかり手術が必要となった場合は、
保険に加入した方がお得かもしれません。
しかし、猫の整形外科疾患は少なく、
ベランダから落下したり交通事故にあったりと飼い主の不注意が原因のことが多い疾患です。
このことを考慮すると、やはり保険に入らずその代わりに保険に入ったつもりで、
ペットのために積み立て貯金をしてあげる方がお金の無駄は無いと考えています。
ペット保険のメリット・デメリット
これまでの内容を読んでいただいて、
まだ保険に加入するかしないか迷われれている方のために保険に加入するメリットとデメリットを考えてみましょう。
猫も犬もご存知の通り、ペット保険は任意加入。
大事なペットが病気になった場合は大きなサポートとなります。
ペット保険に入ると得られるメリット
・高額な治療費や度重なる支出に備えることができる
・治療や入院を気兼ねなくさせることができる
高額な治療費や度重なる支出に備えることは、一番大きなメリットと言えるでしょう。
犬猫はじめ、赤ちゃんの頃から老いるまで何度も病気になったり、怪我は起こりうるもの。
ペット保険に入ることにより、お金の面での心配事はかなり軽減されます。
しかし、ペット保険の保証内容や保険金額によりも異なるので、その選別は大切かもしれません。
また、具合が悪く病院に連れて行った方が良いかな・・・言う状況の時、
費用が気になることも多いのでは無いでしょうか。
前回病院行ったら、高額だったからもう少し様子を見てみようとしているうちに命に関わる状況になってしまったら後悔しか残りません。
そのような状況の時、ペット保険に入っていることにより検査のために病院に行ったり検査入院に踏み切ることが可能となるはずです。
ペット保険のデメリット
・保険の適用にならない病気がある。(予防関係は非適応となります)
・補償内容・限度額によっては保険料が割高になる。
・保険金が十分で無い可能性も。
・ペットの年齢によって、ペット保険に加入できない可能性がある。
・ペットの年齢が上昇するにつれて保険料が上がる可能性がある。
・ペット保険は、既往歴があると加入できないもしくは、保証の範囲が限定されてしまう。
・保険金が下りるのが、後日になってしまうことがある。 (後日請求対応の病院があるため注意が必要です)
ここまでで、ペット保険に加入してみよう!と思った方は、この視点に注意してペット保険会社を決めると良いでしょう!
◉全国の動物病院で使えること
◉通院、入院、手術の全てで保険金が出ること
◉保険料と保証のバランスが取れていること
この三点を基準に選ぶと、大切なペットにあった安心できる保険と出会えると思います。
是非、今回のブログを読んでペット保険について検討し、ペットとの安心で笑顔が多く過ごせる時間にしてくださいね!