健康診断についてお話したいと思います。
ペットの健康診断って、どんな検査があるのか、何歳から受けるものなのか分からず、動物病院任せにしていませんか?今回はペットが受けることが出来る健康診断の内容についてまとめてみました。我が子の健康の為に、役立ててくださいね!
健康診断は、身体検査をした上で必要とされる検査を選別し、実施します。必要最低限の項目に加え、気になる症状をもとに検査を追加して実施すると、健康状態の把握ができるとともにご家族の不安を排除できる為、その意向を獣医師に伝え健康診断の内容を選ぶと良いでしょう。健康診断は、ペットの健康状態を数値化し可視化することによって、ペットの健康状態をご家族と獣医師で共有し、健康促進に役立ちます。
それでは、健康診断の主な内容をご説明します。
1 ||血液検査
犬や猫の採血部位は、基本的に後肢・首・前肢から採血を行います。採取した血液は機械で内臓の機能や血球数を測定する他、染色し顕微鏡にて血球の形態を確認し異常形態がないかチェックしています。
血液検査では、ヒトの健康診断同様絶食が重要です。絶食が必要な理由は、特に血糖値やコレステロール値、尿素窒素(BUN)の数値に影響があり糖尿病の有無や肝臓機能の評価に影響を及ぼすためです。せっかく採血するのですから、しっかり絶食を行い、正確な内臓機能の評価を行ってあげましょう。血液検査は、肝臓・腎臓や血糖値などの内臓機能の評価や炎症や貧血の確認を調べます。また腎機能や膵臓機能、甲状腺などのホルモン検査を必要に応じて検査する事もできます。
2 ||尿検査
尿検査では、当然蓄尿があることが必須条件です。尿は基本的に無菌状態の液体です。未だ動物病院によって採尿方法は様々ですが、推奨されている方法は膀胱穿刺です。無菌的採尿が可能な為、正確な情報が得られる為です。とても細い針で採尿するため、痛みはほとんどありません。尿検査では試験紙でPHや尿糖、潜血などのチェックしている他、比重計にて尿比重を測定し尿の濃度を測定しています。膀胱炎の有無のほか腎不全や糖尿病などの存在の有無も評価しています。また、尿を顕微鏡で観察することにより、結晶の有無や異常な形態の膀胱細胞が見られないか確認し膀胱腫瘍の有無もチェックしています。また膀胱穿刺で採尿するメリットとして、超音波装置にて膀胱の構造を観察することができるため、視覚で膀胱内に結石等は見られないか膀胱壁は正常か否かなど異常所見がないか同時にチェックすることができます。
3 ||便検査
新鮮な便を用いて検査を行います。直接法と浮遊法という2種類の検査方法で行なうことがほとんどで、それぞれ得られる情報が異なります。
直接法は主に腸内細菌のバランスの評価を行い、浮遊法では寄生虫の卵の検出に優れています。寄生虫は回虫や条虫を始め、コクシジウムなどの原虫と言われる寄生虫の確認も行なっています。便を持参いただく場合容器を当院で用意していますが、容器がない場合はテイッシュなどの水分を吸収してしまう素材ではなくビニル袋やラップなどの素材に包んで持参ください。
4 ||レントゲン検査
健康診断では、胸部と腹部を基本的に撮影します。横向きや仰向けで撮影します。特に胸のレントゲン撮影では、右側の肺野・左側の肺野の詳細を把握する為、横向きは2方向で撮影を行います。
レントゲン検査は基本的に各臓器の位置や大きさを評価します。胸部レントゲンでは、心臓・肺野・気管を評価し、腹部レントゲン検査では肝臓や脾臓、腎臓、消化管、膀胱などをチェックします。症状がなくても腫瘍の存在を疑う所見が認められたり、結石や石灰化や、またガスの貯留などの異常所見が健診で見つかる事もあります。また、椎体など骨格の形状も確認しています。胸部・腹部以外にも、前肢・後肢のレントゲン検査を実施することもあります。主に骨折や関節炎、前十字靭帯断裂の評価を行います。
5 ||腹部超音波検査
腹部超音波検査では、肝臓・胆嚢・脾臓・腎臓・副腎・膀胱・消化管を評価します。各臓器の構造や大きさを確認しています。健診にて腫瘍や腹水が見つかったり、結石が発見される事も度々あります。また、これらの臓器以外にお腹の中のリンパ節が腫れていないかもチェックします。万が一腫瘍と思われる組織が見つかった時には針生検を行うことがあり、その際超音波で位置を確認しながら針を病変部分に刺して実施します。尿検査同様とても細い針で針生検を実施します。痛みも少ないため、基本的に無鎮静で行います。
ヒトと違い毛皮を着ている動物たちです。可能ならば、毛刈りを行ってから超音波検査を行う方が実際正確な評価が行えますし、また針生検も正確で安全に実施できます。毛刈りを了承頂ける場合は、ぜひ獣医師にお伝えください。
6 ||心臓超音波検査
心臓の超音波検査では、心電図を装着し実施します。ちなみに心臓の超音波検査は、すべての獣医師が検査可能なわけでなく循環器を得意とした医師のみが検査可能です。専門医でなくても検査可能である為、動物病院に相談してみてください。心臓の超音波検査は、超音波診断装置を用いて心臓の内腔や弁膜の構造、動き、異常な血流、血流の方向や速さなどを計測し診断や治療効果の判定を行います。検査時に興奮すれば心拍数が上昇し正確な評価は難しくなります。安静に検査を行うことがやはり大切で、部屋を薄暗くしたり声がけを行い安心感を与え検査を行ないます。基本的に身体検査で心雑音が聴取された場合や胸部レントゲン検査で心拡大が認められた場合に実施します。犬で多い慢性心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)や猫での発症が多い心筋症の診断にとても大切な検査です。
7 ||血圧測定
ヒトでは当たり前のように腕で測定する血圧。動物では、こんな部位で実施しています。犬では前肢・猫では動いてしまう為前肢以外に尾でも実施します。安静時での測定が重要であり、緊張したり動いてしまうと容易に血圧が上昇してしまう為、検査中は安静が必要です。特に猫では、手をパシパシする傾向にあるため、尾での測定が正確です。私たちも、ペットに安心感を与え安静に検査を受けてもらうため様々工夫をしています。犬ではそっと包み込むように保定を行い安心感を与え、猫では安心できる、キャリーや箱に入って実施します。血圧測定前には、数十分ケージで安静にしてもらい検査を行います。ちなみにペットの正常血圧は、70-160mmHgと言われています。
8 ||皮膚検査
皮膚の病変部分で、何が起きているのか評価するために実施します。複数の検査を行います。
<スタンプ検査>
皮膚表面の分泌物や細胞、細菌や真菌などの微生物を採取し、染色し顕微鏡で確認します。
<皮膚掻爬試験>
皮膚の一部を鋭匙で削りとり、顕微鏡で観察します。疥癬、ニキビダニなど、皮膚や毛穴の内部に入り込んでいる寄生虫を検出するために実施します。一度の検査では寄生虫が見つからないことも多く、感染が強く疑われる場合には、繰り返して検査をすることが必要な場合もあります。
<被毛検査>
皮膚糸状菌症や、シラミ・ハジラミなどの外部寄生虫感染などが疑われる時には、被毛を直接顕微鏡で見て感染の有無を調べます。脱毛症状がある場合、毛根部の状態を見ることで毛周期の異常を知ることができます。
<ウッド灯検査>
特殊な紫外線を皮膚に当て皮膚の真菌症の有無を確認する検査です。真菌の一部が産生する代謝産物が緑色の蛍光を発することで検出できます。
9 ||眼科検査
<シルマー試験>
細い濾紙をまぶたに挟み、しみ込む涙の量を測定する検査です。涙液量の低下により目が乾燥するドライアイの診断に用いられます。
<眼圧測定>
房水という液体によって保たれている眼球内圧(眼圧)を測定する検査です。房水の生産量と排出量のバランスが崩れると変動します。目の炎症や緑内障の手がかりとなる重要な検査です。
<フルオレセイン染色>
特殊な色素を点眼し細隙灯顕微鏡で観察する事で目の表面の傷を確認する検査です。角膜の非常に乾燥している部分や傷が付いている部分が染色されます。
<スリットランプ検査>
拡大鏡を用い、細隙灯と呼ばれる帯状の光を目に当てて状態を調べる検査です。眼科検査の中でも重要な検査です。
<超音波検査>
眼球に超音波を当てて反射する波を画像化し、眼球内の様子を調べる検査です。眼球の大きさや角膜の肥厚を測定し比較出来ます。また眼内出血、眼内腫瘍の有無の検査としても有用です。
<眼底検査>
眼底鏡というレンズを用いて瞳孔の奥にある眼底を観察する検査です。眼底の血管、網膜、視神経を観察します。目の奥の病気を調べる時に行います。
10 ||CT検査
麻酔が必要な検査となります。X線を利用して体の内部を画像化する検査です。画像処理を行うことにより、体の細かな情報が得ることが可能です。CT検査は、胸部・腹部の診断に適しています。椎間板ヘルニアや門脈体循環シャント、腫瘍の広がりや転移性病変など様々な診断が可能です。
11 ||内視鏡検査
消化器疾患の診断にとても有用な検査です。麻酔が必要な検査となります。
ヒトと同様上部内視鏡、下部内視鏡検査が可能です。上部内視鏡検査では、食道・胃・十二指腸の病変の評価を行い、下部内視鏡検査では直腸・結腸・盲腸・回腸の病変部を確認します。その部位を組織検査を行うことで、正確な診断へ導きます。
<内視鏡検査の適応>
・低タンパク血症
・消化器症状が見られる場合
・画像検査で上部消化器系に異常所見が認められる場合
・上部消化管内の出血部位の特定 など
まとめ
年齢問わず年に一度健康診断を推奨します。
病気の早期には、明確な症状は現れません。症状が現れ、すでに病気が進行していたということがないよう、病気の早期発見・早期治療のため、定期的な健康診断がとても重要です。基本的には、年齢問わず年に一度健康診断を推奨しますが、1-6歳までは病気の罹患が少ない年齢となります。少なくとも犬・猫ともに7歳以上は年に一度、10歳を超えたら年に2回の健康診断を行い健康状態の把握に努めましょう。
言葉が通じづらいペットの体調・気持ちを、数値にて把握しペットとの楽しい時間・幸せな時間を増やしていきましょう!
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— Buru (@burubio01) February 21, 2020
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