「水分」は生きるために必要不可欠なものです。猫の水皿に水を入れても減っていない、あまり水を飲んでくれない。そういった経験が、猫を飼っている人なら経験があると思います。水分補給はヒト同様、猫の健康にも大切です。水を飲まないことで病気になることもあります。
どうして水を飲まないのか、どうしたら水を飲んでくれるのか、原因や水分補給のおすすめをお伝えしていきます。
猫が水飲まない これって病気?
「猫が水飲まなくて困っている。」そんな飼い主さんの声を、診療でよく耳にします。
元々砂漠で暮らしていた猫は、少しの水でも生きられるような体の構造になっていて、少ない水分量でも活動できるという特徴を持っています。肉食動物である猫は、肉に含まれる塩分を多く体に取り込む傾向にあるので、少ない水で生きられる割には、人間よりも喉が乾きやすいとも言われています。
逆に、飲む量が増えている様子が見られるようであれば、腎臓病などの病気を疑う必要があります。また、突然水を飲まなくなったのであれば、水や容器に問題があるかもしれません。
【猫と水】1日に必要な量は?
猫に必要な水の量は、猫の体重によって異なります。
・3kg→約200ml
・4kg→約240ml
・5kg→約280ml
健康な成猫の場合は、上記の量が目安です。ただし、ウェットフードなど水分量を多く含むフードを多く食べている場合は、これよりも少なくなります。
猫用の缶詰は1缶が約180g入り。1缶には、約80%の水が含まれているとすると、通常は体重3-4kgの猫で1日1缶食べるので、それだけで144mlの水分が取れます。5-6kgの猫で2缶食べる場合には、288mlの水を取ることになります。
缶詰以外にも少しは水を別に飲んでいるはずですし、2缶食べていれば特に水を飲まなくても正常と言えるでしょう。
もちろんこの1日の必要量は、気温が高い・運動量が多い・病気で熱がある・下痢や嘔吐などの要因で増加します。
与えるフードをきちんと量っていても、猫が飲んでいる水の量を把握している飼い主さんは、もしかしたら少ないかもしれません。毎日飲んでいる水の量も、猫の健康管理においては重要なポイントです。朝晩で飲み水の重さを測れば、猫が1日に飲んだ水の量が簡単にわかります。さらに、メモリがついている水飲みボウルなら、一目で飲んだ量がわかるので便利ですね。
【猫と水】与えるのは水道水?それともミネラルウォーター?
ひとくちに「水」と言っても、色々ありますよね。どの水を与えればいいのか、悩む飼い主さんは多いです。私がお答えするときは、これ。「水道水」!!。
えー、いいいの?それで・・・。カルキとか塩素とか入っているし心配という方、多いと思いますが、「水道水」が良いのです!
日本の水道水なら、猫にとっても良いのです。世界中を見渡しても、水道水を直接飲むことができる国は意外と少なく、日本の水道水はきちんと厳しい基準が定められています。
日本の水道水は、カルシウムとマグネシウムの含有量が数ない「軟水」です。猫はカルシウムなどのミネラル類を多く撮りすぎてしまうと、尿路結石など病気の原因になる可能性があると言われています。ミネラルの含有量が少なく安全な日本の水道水は、猫にとっても良いお水と言えるのです。
では、ミネラルウォーターを与えることは良くないのでしょうか?
もし、猫にミネラルウォーターを与える場合は、硬水ではなく「軟水」と表記されており、できるだけミネラルの含有量が低いものを選ぶようにしましょう。
水の硬度や成分は商品の方式サイトに行くと確認することができるので、もしもの時のためにもチェックしておくと安心ですね!
【猫と水】猫が水飲まないと心配なことって?
猫が水を飲まないでいると、さまざまな病気にかかりやすくなってしまいます。
まずは脱水症状が心配です。夏場に多く見られますが、冬はさらに水を飲まなくなるので、下痢や嘔吐が続くと簡単に水分不足になります。脱水により便が硬くなり便秘の原因にもなります。
特に既往歴として腎不全がある子は便秘になりやすいので、脱水には十分注意が必要です。
それでは、脱水以外に代表的な病気を、いくつかご紹介しましょう。
1.尿路結石(尿石症)
「尿路結石」は、水分量が足りず尿が濃くなったり、食事内容や生活習慣などによって膀胱内に結石ができてしまう病気です。結石が膀胱や尿道を傷つけるため、排尿時に痛みが出たり血尿が出たりします。
症状が軽ければ数回の通院で治療できますが、重症と入院が必要になることもあります。手遅れになると結石が尿道に詰まってしまうこともあります。結石が尿道に詰まり尿が出なくなり、尿が逆流して腎臓へ流れることにより尿毒症に陥り、死に至ることもあるので注意が必要です。
2.膀胱炎
「膀胱炎」は、何らかの原因で膀胱に炎症が起こる病気です。原因の一つに上記で述べた、尿路結石があります。また、蓄尿時間が長すぎることにより、膀胱粘膜の免疫が下がり細菌感染しやすい環境にもなります。膀胱炎は適切な治療をしなければ、膀胱炎を長引かせ、腎不全に陥ることもあります。
3.慢性腎不全
猫がかかりやすい病気の一つが「慢性腎不全」です。
濃い尿を作り出す腎臓は、常にかなりの負担がかかっているとされています。それなのに水分が不足し、さらに濃い尿を作らなければならなくなると、腎臓に負担がかかり腎不全になってしまいます。壊れた腎臓は元に戻すことができないので、予防が最も大切です。
猫の腎不全については、記事にしています。読んでくださいね。
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4.便秘
水分が不足すると、便が硬くなり便秘になることがあります。固くなった便が腸を傷つけて、血のついた便が出ることもあります。
猫の便秘についての記事は、こちらです。
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【猫と水】猫の水分補給におすすめ対策は?
猫があまり水を飲まない場合の対策について、ご紹介します。
猫によって水を飲まない理由は様々。色々試して愛猫に合ったものを探してあげてください。
◆こまめに水を取り替える
人と同じく、猫は新鮮なお水を好みます。
水はこまめに取り替えて、常に新鮮なお水を用意してあげましょう。1日に数回取り替え、その都度、必ず器をきれいに洗います。
また、他の猫や犬が口をつけた水は、唾液が混じり匂いがついているので、飲まない猫もいます。なので多頭飼いしている場合は、ペットの頭数以上の器を用意しましょう。
◆水の置き場所に配慮する
基本的には、フードのお皿と並べて置き、食事のついでにお水を飲めるようにしておきます。
猫は嗅覚が優れているので、トイレの匂いがすると食事も水も取らなくなるため、トイレから離れた場所におきましょう。
また猫のお気に入りの場所や、よく通る通り道に何ヵ所か水を置いておくと、水を飲む機会が増えます。
◆水飲み用のお皿を変えてみる 【おすすめ水飲みボウル 2選】
猫は、ひげが器に当たる事を嫌い、ひげの当たる器では食事を取らなかったり水を飲まなかったりします。一度嫌になった器では飲まなくなってしまうことが多いので、器を変えてみましょう。
縁の広い器に水をたっぷり入れると、ひげが器に触れにくくなります。
また、猫によって器の素材の好みも様々です。陶器・ガラス・セラミック・ステンレスなど、様々な素材の器が販売されています。色々試してみると良いでしょう。
そして、猫の飲みやすさを考えた高さで、自然な体勢で水を飲むことができ、シニア猫や病気の猫でも楽に水を飲めるようにしてあげます。
おすすめ商品
◯猫壱 ハッピーダイニング脚付ウォーターボウル 猫柄シリコン付き【猫用餌やり・水やり用品】
特徴
・飲みやすい高さ:高齢の猫ちゃん、病気の猫ちゃんでも楽に水が飲めます。
・こぼれにくい:ボウルの縁に返がついているので、水が飛び散りにくい。
・飲みやすい重さ
・磁器製:温めたスープも冷めにくい磁器製素材を採用。
猫壱 ハッピーダイニング 脚付フードボウルL シリコン付き 猫柄 猫用
◯ヘルスウォーター 水飲みボウル
特徴
パワフルな人工機能石で作られた水飲みボウル。
この機能石を使うと、器の中の飲物等の味に微妙な変化が起こり、とても優しくまろやかな味に変わります。使用効果については、第三者機関であるテイストテクノロジー有限会社の「官能評価」でも味の変化が認められ、ペットがこのヘルスウォーターの器による味の変化を好む可能性はかなり高いと思われます。
直径:14.5cm×高さ:6.5cm
◆自動給水器を使ってみる 【おすすめ自動給水器2選】
猫は、流れる水に興味を示すことも多いです。
自動給水器は、水に流れがあり、循環・濾過されるのでいつもきれいな水を飲むことができます。
おすすめ商品
◯うちの子エレクトリック
アクアメビウス 自動給水器 WF02P
360度どこからでも綺麗な水が飲める!
どっしりとした安定感のある見た目が特徴の自動給水器。40デシベルの静音が魅力!
タンクは取り外せるのでお手入れの手間も省けます。さらに4.18度の程よい傾斜設計のため、無理せず楽な姿勢でごくごく飲めるでしょう。
メタルカバーをコード表面に採用。コードを噛む癖のある猫ちゃんが感電してしまう危険を防ぎます。なるべく安心できるものを重視したい方必見です。
サイズ:幅21.6×奥行21.6×高さ15.7cm
重量:1kg
容量:2L
◯ジェックス ピュアクリスタル ブルーム
大きめの傾斜で、小柄な猫ちゃんでも飲みやすい
ジェックスのピュアクリスタルブルームは、トップファンネルをねじ込んで固定するタイプ。遊んで外してしまう心配もありません。飲み口までの高さは約14cmで、傾斜が大きい仕様。小柄な猫ちゃんでも飲みやすいでしょう。
抗菌活性炭フィルターはほこりだけでなく、カルキ臭まで取り除きます。この他に容量2.3Lも販売されており、多頭飼いの方におすすめです。
サイズ:幅23.4×奥行18.6×高さ15.4cm
重量:600g
容量:1.8L
◆水分パウチを使う 【おすすめ水分パウチ2選】
おすすめする商品は、この2つ!
◯H4Oウォーター
”腎不全の犬や猫を救いたい”という、想いから作られた水H4Oウォーター。
ペットの病気を引き起こす原因の一つに、活性酸素があります。
この活性酸素を効率よく除去してくれるのがH4O。腎不全のほか、アレルギーやアトピー、皮膚炎や外耳炎、腫瘍疾患を抱えているペットに多く使われています。
リンクはこちらから⇨H4Oウォーター
【関連記事】H4Oペットウォーターについて詳しく書いています。
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◯ピュリナ プロプラン ベテリナリーダイエット
猫用サプリメント ハイドラケア:経口補水液
特徴
・飼育環境や健康状態で水分摂取量が気になる猫の経口補水液
・猫が喜んでくれる嗜好性で飲水不足に対応
・オズモライト配合で猫のスムーズな水分補給をサポート
オズモライトの成分は、ホエイプロテイン・グリセリン。水分補給・保持を助けてくれます。
これは2020年11月頃から販売開始された、新商品。中身はトロッとしている茶色の液体。結構好んで飲んでくれる猫が多い印象です。
◆ウェットタイプのご飯やおやつを与える
ドライフードだけを与えていると、水をあまり飲まない子は水分不足になります。ウェットフードを併用すると、水分補給がしやすくなります。水分含有量が多いペーストタイプやゼリータイプのおやつも販売されているので、活用するのもおすすめです。
おすすめ商品
◯健康缶パウチ 食事で上手に水分補給
猫の体液に近いミネラルバランスと、体液の浸透圧に近くなるように成分調整されたウェットフードです。効率的に水分と電解質の補給ができます。
国産 健康缶パウチ 食事で上手に水分補給 まぐろ100%ベースペースト 40g×12コ
◯チャオちゅ~る 猫用 水分補給 まぐろ
猫の体液に近いミネラルバランスに調整されていて、効率的な水分補給をサポートする「ちゅ~る」です。
【猫と水】猫に飲ませてはいけないものって?
◇ミネラルウォーター(硬水)
硬水は、日本の一般的な分類ではカルシウムやマグネシウムの濃度が100mg/L以上の水です。
ミネラルを多く含む硬水は、尿路結石を引き起こす可能性があるため、与えるのは避けたほうが良いでしょう。
◇味付けした茹で汁
茹で汁を与える時は、塩分などの調味料で味付けしていないものを与えてください。
また、甲状腺機能亢進症などで厳密な食事療法をしている猫は、茹で汁自体を与えないほうが良いので、気をつけましょう。
◇カフェイン入りの飲料
カフェインを含む飲み物は、覚醒作用・利尿作用などがあり、人が適度に摂取すると良い影響をもたらすと言われています。
しかし、体の小さな猫がカフェインを摂取すると、これらの作用が過度に働き、健康を害します。
◇花瓶の水
植物安定剤や肥料などを入れている場合、花瓶の水を猫が飲んでしまわないよう注意しましょう。
また、猫にとってユリ科の植物は、非常に危険性の高い植物です。ユリの花を生けた水を飲むと、「百合中毒」を引き起こす危険性があります。ユリの花や葉はもちろん、花粉を少し口にするだけでも急性腎不全を起こし死に至ります。ユリ科の植物を、部屋に置くことはやめましょう。
【猫と水】猫にポカリスエットや経口補水液OS-1を与える効果について
ヒトにとって、水分補給に効果的なポカリスエットや経口補水液OS-1。これは、猫にも効果があるのでしょうか?そして猫にも飲ませて良いものか?みなさんの疑問について、少しお話ししましょう。
ポカリスエット自体に、健康な猫にとって有害な物質は含まれてはいません、しかし、糖分が非常に多いため、積極的に与えることを控えましょう。
そもそもポカリスエットは、イオン(電解質)をスムーズに補給するために開発されました。そのため、忙しい時の水分補給や長時間の手術を終えた時の疲労回復に愛飲されていましたが、今はヒトの脱水症状には「経口補水液OS-1」が推奨されています。
経口補水液OS-1を飲むことで、発汗などによって失われた水分を素早く補うことができます。経口補水液 OS-1は、点滴に使われる生理食塩水と同じ成分で作られています。そのために、失われた水分を効率よく補うことができます。
また、体の中の体液には電解質(イオン)が含まれていて、細胞の浸透圧を調節したり、筋肉細胞や神経細胞の働きに関わったりと、体にとって重要な役割を果たしています。
電解質も、発汗などによって体内から失われてしまいますが、経口補水液OS-1は、その電解質も効率的に補充することができるため、下痢、嘔吐などの脱水時や熱中症予防などにも効果的と考えられています。
ポカリスエットは糖分が多く、またOS-1もヒト用の電解質バランスで作られているので、猫に与えるのは適切ではありません。
そこでおすすめなのが、ペット用に必要な電解質バランスを考えて作られた製品です。動物病院などで、「電解質サポート」などの商品名で販売されています。
しかし、この「電解質サポート」にも注意が必要です。
特に腎臓病を患っている猫では、電解質バランスに気をつける必要があります。そのため、猫用製品などを使用する際は、まず獣医師に相談してみるといいでしょう。
もし、緊急時に猫用製品が手に入らず、ヒト用の製品を与える際は、2~3倍に薄めることをわずれずに。水分補給と電解質補給に・熱中症対策や食欲が減退している時に、電解質サポートなどの製品を上手に使用しましょう。
まとめ
水は、ほぼすべての生き物にとって、必要不可欠なもの。猫の場合も同様です。
場合によっては健康や寿命に直結するので、日々愛猫がどのくらい水を飲めているかチェックすることを習慣にしましょう。そして飲んでいる水が少なすぎたり多すぎたりしたら早めに病院に行き、対策をとりましょう。
また、猫は喉の渇きを感じる感覚が鈍いと言われています。愛猫の嗜好を探り、好みの水や水入れを探して、日頃から十分な水分補給ができるようにしてあげましょう。
リンクはこちらから⇨H4Oウォーター