ペットの歯磨きしていますか?上手に出来ていますか?
犬では、歯磨きは自宅でのケアの一つという認識が浸透してきているように思います。これは、10年前では考えられなかったこと。ここまで飼い主の意識レベルが高くなった要因として、一つにヒトと犬との信頼関係がより深くなってきたこと、またしつけに対する意識が高くしつけ上手になっていることが挙げられると思います。日常の診療でも、飼い主さんの犬の歯科への関心は高く、よく相談を受けます。歯磨き指導教室行うと、参加人数も多く、またケアグッズへの関心も高いのです。最近では、歯科専門動物病院もあり、人でいう歯医者さんとしてそこへ通院し、他の疾患や予防は他病院へ行くと使い分ける飼い主もいるほどです。
一方、猫の飼い主の歯科への意識はまだ低く、歯磨きをしているか診療で伺うと「え、するんですか?できるのですか??」という返答が返ってきます。犬同様猫の歯科疾患は多く、ウイルスが原因の他歯垢(プラーク)が原因で歯周病を招いている場合も多いのです。なので、可能な範囲で猫も歯のケアをお勧めします。
今回は犬と猫のデンタルケアについてお話ししましょう。
キーワードは、”嫌がらせない”!!
この考え方は、耳掃除やケア、投薬などの行為のすべての基本となります。
指導を行う中で最も受け入れてもらえる方法は、飼い主の膝の上で行う方法です。
これはもともと飼い主の膝の上でくつろぎたがることを好むペットに有効な方法となり、そうでないペットには困難であり、他のくつろげるタイミングを探る必要があります。
まず、飼い主の膝の上でくつろいでいる際に、ペットの口を触ることから始めます。唇をめくったり、口唇の内側に触れたりしながら、まず遊びとして口を触ることを受け入れてもらうことが大切です。この段階では、このトレーニングの後に食事を与えても良いです。むしろそうする事で、ペットにとって嫌な事でなく「好ましい事」として意識づけされることが重要です。
そして、この段階を受け入れてくれたペットは、口の中に何かを入れられることも比較的に嫌がりません。そのような状態に進む事が出来たら、歯の表面を拭くことを試みます。この時に使用するグッズとしてお勧めするのは、ベッツドクタースペックデンタルシートです。様々なデンタルシートが売られている中でこのグッズをお勧めする理由は、通常のウェットティッシュなどとは全く異なる歯石除去の効果がある特殊な構造のメッシュ構造となっていてブラッシングが出来ない症例でもある程度の歯面の清掃の効果が期待できます。
歯磨き方法
歯磨き法はいくつかやり方がありますが、歯面に垂直に歯ブラシを当て、真横に歯ブラシをスライドさせる水平法で十分効果発揮できます。何よりペットたちが不満なく受け入れてくれなければ、長く続ける事は難しくなります。さらに飼い主にも、これからのペットの一生行うべきこととして、負担を感じないレベルである事が続けていく意欲につながると考えます。
使用する歯ブラシとしては、出来るだけ先端のブラシ部分が小さく、口腔内へ挿入する際の異物感の少ないものが好ましいです。毛も柔らかく、刺激性の無いものが使いやすいです。磨く箇所は、両側の上顎の犬歯と裂肉歯の頬側面のみと伝えています。もちろん全体的み磨く事が理想ですが、通常歯垢が蓄積しやすいのは上顎の犬歯・裂肉歯と口唇の間であり、最も食渣などが蓄積しやすい場所となります。この場所が磨けているだけで、高齢になった時の歯周病の発現は抑えられる可能性が高く、とても有益と考えます。
歯磨き時に使用するペースト=歯磨き粉も多種多様なものがあります。いろいろありますが、個人的にお勧めしているのが「オーラティーン」。3種類の天然酵素が配合され、口臭予防や歯垢が付きづらくなります。味もクリーンアップルのようなほのかに甘く、ペットが嫌がらない匂いとなっており、なんと言っても犬はもちろん猫にも使用できるんです!
他のペーストでももちろん良いです。他の歯磨きペーストは一般的に犬用が多いという事と、ペットが好むような様々な味で作られていて、歯ブラシを嫌がらないよう工夫されたものと認識いただけると良いでしょう。何より、歯を磨いて歯垢を除去するこの事が大切です。自分のペットに合ったグッズ、やり方を見つけましょう。
え・・・うちの子は、口を触らせてもくれないし、諦めるしかない?
いや、そんなことはないんですよ!きちんと歯磨き出来なくても行えるデンタルケア方法あるんです。次回は、歯磨き出来ない場合のデンタルケアについてお話しします。